感謝の気持ち
認知症専門の医師の講演を聞いた45歳の好太郎は有料老人ホームから認知症の父・茂一を、一念発起して、自宅マンションに引き取ることにした。勤務先には介護休業を申請して・・・・ 好太郎は 自分が【これまで世話になった父親への感謝の気持ちを胸に秘めて 介護をしたい。期待するのではなく感謝の気持ちをもてば 最高の介護ができる】と思うようになった。 この本の中でここが一番心に響いた。 親も子もそのような気持ちなら介護する方もされる方も幸せなこと、だと思う。そのように思うことはなかなか大変だと思うが・・・ 弟は離れて暮らしているが 兄夫婦が父親の世話をしていることに感謝の気持ちを表していながらも 父親の病気(前立腺癌)の治療法などについて判断を求められると「普段世話をしているのは兄さんだから・・・」と言い 兄夫婦の尊厳を失わないようにしつつも 弟夫婦なりの意見も伝え、なんてよい兄弟なんだろうと思った。 好太郎は 父が自分の名前を言ってくれない、 自分のことをわかってくれない、近所から苦情を言われるなど 様々な葛藤を抱えながらも日々奮闘している。 好太郎夫婦も弟夫婦も仲良く協力的な点もすごくできすぎ! 40代で介護休業の申請もなかなか容易ではなさそう! という面もあるが 認知症の患者さんに接するのは「嫌がることをしない・ 寄り添う・ 食事も無理して食べさせようとしない」など なるほどと思う点がいくつかあった。 臨終が近いと思われたときに(実際はそうではなかったが)好太郎が「とうさん!!名前を読んでもらえなかったけれど 最後は一緒に暮らせてよかったよ~」などとつぶやく場面では ぐっと来た・・・・ 近所トラブルなどのほか 徘徊問題,排泄問題など この中ではコミカルに描かれてはいるが 高齢になってくるとどうしても避けて通れない問題のようで いろいろ考えさせられた。