時代を背負う

 この作者は 社会学者として何回かテレビのコメンテーターの立場で意見を聞いたり 新聞のかこみ記事で「あーーいいこと言うな~」「うん、そうそう」などと思ったことがあって 図書館の書棚で目についたので借りてきた。

しかし、古市憲寿さんの何に感動したのか、何に対しての意見だったのかまるで覚えていない。私は読書をしても内容をすぐ忘れてしまうが それと同じで中身については記憶になくて何に対しての意見だったのかも忘れてしまっていて・・・( *´艸`) 情けない ( 一一)



平成になった1月8日に生まれたので平成(ひらなり)と名づけられたという、文字通り平成とともに生きてきた青年が元号が平成から変わることになり 「もう自分は生きている意味はない」と思い、安楽死を希望するというもの。平成くんの彼女愛さんの語りのように物語は進んでいく。

しかし、しょっぱなは ずいぶんあけすけな内容で「読むのをやめようかな?」と思ったが 読みやすい文章だったので 一気に読んだ。


2年間一緒に暮らしていた平成くんに「安楽死を考えている」と言われた愛は もちろん何とかしてその考えをやめてもらおうと いろいろ話すが 「人間は若い時の方が偉業を達成でき、その後は落ちていく一方・・・」とか何とか言って 考えを改めようとしない。平成が終わりにむかっていくにしたがって 愛も生きることの意味を考えるようになる。確かに長生きすることだけが素晴らしいわけではない。


二人は収入も多く、家賃130万のマンションで一緒に暮らしている。

食べ物も高級な料理名が次々出てくるし、洋服や靴もブランド名が出てくる。AIを駆使したようなグッズがたくさん出てきて 出かけるときの車を頼むのも レストラン予約もすべて家でスマホから。確かに昭和でなくて "平成”という感じはする。私でも知っているような実名の有名人も出てくるので 一瞬??と思う部分もたくさんある。

自分の最期は自分で決めたいという平成くんの気持ちはわからないわけではないが 大好きな人にはいつまでもそばにいてほしい愛の気持ちの方がどちらかというとぴったりくるし、 安楽死を希望する大切な人に全力で向き合っている愛の姿勢はとても素敵。

平成が終りに近づいたころ平成くんは これまで話してこなかった安楽死を望むことになった第一の理由を愛に告げる。でもだからと言ってやはり安楽死を肯定することができない愛。その気持ちはとてもよく理解できた。一方、平成くんは 自分以外の人の気持ちをわかろうとしないのでは?  かわいがっていた愛猫を 愛が留守して家を空けているときに自分だけの考えで安楽死させたのは いったいなぜ?わからない。

最後の数ページ「ねぇ、平成くん」「ねぇ 平成くん」は切なかった。

読み終わってこの本の装丁を見て なるほどと思った。


 



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